記事: CBD(カンナビジオール)とは?本当に合法なの?効果や注意点を薬剤師が解説

CBD(カンナビジオール)とは?本当に合法なの?効果や注意点を薬剤師が解説
「CBDとはどういう効果がある成分なの?」
「大麻と関係があると聞いたけどCBDは合法なの?」
CBDについて、客観的な意見を薬剤師の岡本先生にお聞きしました。
世界中で注目を集めているCBD(カンナビジオール)は、さまざまな効果があるとして日本でも注目を集めています。しかし、具体的にどのような効果があるのか、本当に合法なのか気になっている方が多いのではないでしょうか。
そこで今回は、CBDがもつ効果や合法なのかなどについて詳しく解説します。CBDと似ているTHC(テトラヒドロカンナビノール)との違いなどを解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
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CBDとは
CBDとは、大麻からとれるカンナビノイドという成分の一つです。正式名称をカンナビジオールと言います。カンナビノイドとは、大麻に含まれている生理活性物質のことです。現時点で100種類以上のカンナビノイドが発見されています。
なかでもCBDは依存性がなく、さらに多くの効果を示すことで注目されている成分です。もちろん、中毒性もありません。ハイ(陶酔感・多幸感)になることもないため、安全に使用できます。
CBDに期待できる効果
CBDはセロトニン受容体やバニロイド受容体、イオンチャネルなどに結合することでさまざまな効果を発揮します。まずはCBDの効果として知られている6つの働きについて見てみましょう。
自律神経の調整[*1]
CBDには、自律神経を調節する働きがあります。自律神経とは、交感神経と副交感神経のことです。それぞれがお互いに拮抗しながら身体の機能をコントロールしています。
通常であれば交感神経と副交感神経がバランス良く働いているのですが、何らかの原因によりこのバランスが乱れると、不安感や緊張感が強くなったり、夜に眠れなくなったりなどの症状が現れるのです。
CBDは自律神経がバランス良く働くように調整してくれるため、これらの症状を改善する働きが期待できます。
リラックス効果[*2]
CBDはセロトニン受容体を活性化させることで、不安な気持ちを取り除く効果があります。CBDを摂取するとリラックス効果が得られると言われているのはこのためです。
セロトニン受容体は、幸せホルモンとも呼ばれるセロトニンという神経伝達物質が結合する場所として知られています。
CBDはセロトニン受容体と強い親和性があるため、体をリラックスさせてくれるのです。また、高用量のCBDを摂取することで眠気を誘導することも分かっています。
ストレスの緩和[*3]
CBDがセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質に影響を与え、さらに自律神経を整える働きがあることからストレスの緩和にも役立ちます。
ストレスと言うと軽く見られがちですが、溜め込むと精神を病んでしまったり体にも不調が出てきてしまったりするため、こまめに解消することが大切です。心身ともに健康な状態を保つためにも、CBDが大きく役立つでしょう。
睡眠の改善
CBDには、不眠の改善にも効果があることが報告されています。コロラド州のとある病院に通院する患者さんを対象に行われた研究では38%、インディアナ大学が行った研究では87%の方が睡眠の改善を自覚しました。[*4][*5]
使用したすべての方に効果があるわけではありませんが、「睡眠薬は飲みたくないけど睡眠の質が気になっている」という方に良い効果をもたらす可能性があります。
肌トラブルの改善[*6]
ニキビや脂漏性皮膚炎などの改善にも効果があると言われています。CBDが皮脂の産生や皮脂細胞の増殖、炎症などに関与しているため、ニキビや脂漏性皮膚炎にも効果があるのです。また、CBDには抗炎症効果もあることから、荒れた肌を鎮静させる働きも期待できます。
エイジングケア
CBDには、ビタミンCやビタミンEよりも高い抗酸化作用があります。そのため、エイジングケアにも最適です。抗酸化作用によって肌が錆びるのを防ぐため、若々しい肌を保つことができます。
コラーゲンやエラスチンを生み出す線維芽細胞の酸化を防ぎ、日焼けによるダメージを軽減することも可能です。まだ研究段階ではありますが、CBDは白髪や抜け毛にも効果があるのではないかと考えられています。
医療分野で期待されているCBDの効果
CBDはリラックス効果や美容効果があることで注目されている成分です。実はこのほかに、医療分野でもさまざまな効果が期待されています。いくつか期待されている効果がありますが、今回は次の4つについて紹介しましょう。
てんかん発作の抑制[*7]
一般社団法人日本臨床カンナビノイド学会によると、CBDはてんかん発作の抑制にも効果があるとのことです。てんかん発作をもつ患者さんにCBDのサプリメントを使用してもらったところ、発作の頻度が減ったと回答が得られました。
これは個人的にとても興味深い研究です。てんかん発作を抑えるための薬にはいくつもの種類があり、その中から自分に合うものを探さないといけません。
CBDの使用によりてんかん発作が完全に消失した患者さんも見られたことから、今後CBDがてんかん発作の有効な治療法の選択肢となるかもしれません。
がんの痛みを軽減する[*8]
がんに罹患すると、強い痛みに襲われることがあります。南フロリダ大学が行った研究では、CBDを使用しているがん患者さんでは痛みが軽減され、痛み止めの使用も大幅に減ったことが明らかになりました。
このほか、CBDにはがん細胞の増殖を抑制する効果がある可能性もあるそうです。CBDは、がんの治療はつらいもの、痛みに耐えるものというイメージを覆す大きなきっかけになるのではと私は思っています。
不安障害やPTSDの改善[*9]
不安障害やPTSDの治療にCBDが役立つことも分かっています。セロトニン受容体に働きかける効果があることから、不安障害やPTSDに効果を示すのです。
不安障害の患者さんは、約1,000万人以上いると言われています。[*10]PTSDは、一生のうちで1.1~1.6%の方がかかる病気です。[*11]不安障害やPTSDが原因で日常生活に支障が出ている方が少なくありません。
薬を飲んだからといってすぐに治る病気でもないため、時間をかけて少しずつ治療していく必要があります。CBDは、このような方たちの心強い支えになってくれるでしょう。
認知症の改善[*12]
認知症に代表されるアルツハイマー病は、アミロイドβやリン酸化されたタウと呼ばれるタンパク質が沈着することで発症すると考えられています。
中国で行われた研究では、CBDがアミロイドβによって引き起こされるGSK-3β(グリコーゲンシンターゼキナーゼ3β)のリン酸化を防ぐことが明らかになりました。
さらに、カンナビノイド受容体に間接的に働きかけることで神経保護作用を発揮することも分かっています。現段階でアルツハイマー病にどのような影響をもたらすかまでは分かっていませんが、CBDが新しい治療薬の候補となる可能性があります。
CBDの製法の違い
CBDを製造する方法には、3つの種類があります。製造方法によってCBDに含まれる成分や効果、価格が異なりますので、まずはこの違いについて理解しておきましょう。
フルスペクトラム
大麻に含まれるすべての成分が含有されたCBD製品をフルスペクトラムと言います。すべての成分が入っているということで、後ほど紹介するTHCも含まれている可能性があるものです。
THCは日本で規制されている成分ですので、フルスペクトラムのCBDを所持することは違法となります。ただし、複数の成分を摂取することでCBD単体を摂取するより効果が増強されるアントラージュ効果が高まることが特徴です。
ブロードスペクトラム
CBD以外のカンナビノイドを含んだものをブロードスペクトラムと言います。ミネラルやテルペンなども含まれていますが、日本で規制されているTHCは含まれていません。CBD以外の成分も含まれていることから、アントラージュ効果も期待できます。
オイル状のものが多く、やや苦味があることが特徴です。効果の高いCBDを摂取したい方は、次の紹介するアイソレートよりも、こちらのブロードスペクトラムをおすすめします。
アイソレート
大麻の成分にはカンナビノイド以外の成分も含めると400種類以上もの成分が含まれています。その中からCBDのみを抽出したものがアイソレートです。CBDの純度が非常に高く、ほかの成分は含まれていません。
もちろん日本で規制されているTHCも含まれていないので安心してください。CBDのみしか含まれていないのでアントラージュ効果は期待できませんが、CBDのみを摂取できることから安心感があります。
CBDは合法なの?
日本では、大麻の栽培や所持、譲渡、譲受はすべて原則禁止されています。都道府県知事の免許を受けた大麻取扱者のみしか栽培や所持はできません。
そのため、「大麻から製造されるCBDも違法になってしまうのでは?」と疑問に思っている方もいるかと思います。
CBDは合法で使える
結論から言うと、CBDは合法です。違法性はありません。[*13]しかし、「大麻から抽出されたものなのになぜ違法じゃないの?」と気になる方もいるでしょう。CBDはたしかに大麻から抽出された成分ですが、幻覚作用を示すTHCが含まれていないため、大麻にはあたらないとされているのです。
逆に言えば、CBDという名前で販売されていてもTHCが混入していれば違法となります。そのため、CBDを購入する際はTHCの混入リスクがゼロのものを選ぶことが大切です。
CBDとTHCの違い
CBDとTHCはどちらも大麻から抽出された成分です。CBDは合法ですが、マリファナの主成分であるTHCは違法のため日本では扱えません。
CBDやTHCなどのカンナビノイドは、ECS(エンドカンナビノイドシステム)に働きかけることで効果を発揮します。ECSとは、カンナビノイド受容体やカンナビノイドの合成や分解を行う酵素などで構成されているシステムです。
カンナビノイド受容体にはCB1受容体とCB2受容体の2種類があり、THCはCB1受容体に「鍵と鍵穴」のようにぴったり結合することで、快楽や幻覚、鎮静や抗不安などの効果を発揮します。快楽を与えたり幻覚を起こしたりすることから、違法の成分とされているのです。
しかし、CBDとTHCは非常に良く似た構造をしています。構造にわずかな違いがあるだけで化学式はまったく同じです。
ところが、CBDはカンナビノイド受容体にはほとんど結合しません。CB2受容体の活性を間接的に高める働きしかないため、快楽や幻覚を引き起こすことがないのです。CBDとTHCの構造のわずかな違いによりカンナビノイド受容体への親和性が変化し、効果に違いが出ているのだと考えられます。
CBDの副作用
CBDを高用量で摂取すると、めまいや吐き気、下痢や食欲不振などの副作用が起こることが報告されています。そのためCBDを摂取するときは、必ず一日の摂取目安量を守るようにしてください。[*14]
人によっては摂取目安量を守っても眠気が出ることがあります。正しく使用すれば大きな副作用が出ることはありませんが、ほかのサプリメントを使用するときと同様に、正しい方法で摂取することが大切です。
CBDの使い方
CBDが配合された製品には次のようにさまざまな種類があります。
- オイル
- クリーム
- カプセル
- パウダー
- 飲み物
- ガム
- グミ
オイルの場合はそのまま口の中に垂らして摂取する方法と、飲み物に混ぜる方法とがあります。マッサージオイルとして使う方法もあります。クリームは美容効果を期待して使うことがほとんどでしょう。気になる部位に適量を塗って使用してください。
このほか、カプセルやパウダー、グミなどいくつか形状に種類があります。どれも過剰摂取はせず、一日の摂取目安量を守って使用するようにしましょう。
CBDを使用するときの注意点
CBDは合法なので、一般的なサプリメントと同様に使用できます。しかし、いくつか注意点があるので押さえておきましょう。
違法成分のTHCが混入している商品がある可能性がある
CBDとして販売されているにもかかわらず、まれにTHCが混入している製品がある可能性があります。実際に日本で販売されているCBD製品の一部を分析したところ、いくつかの製品でTHCが検出されました。信頼できる業者から販売されたCBDでないと、THCが購入していることがあります。
知らずにTHCを摂取してしまったとしても、残念ながら違法ですので注意しましょう。CBDを購入する場合は、THCが混入している可能性がないかをきちんと確かめることが非常に大切です。
眠気が出ることがある[*15]
CBDは眠気を誘発することでも知られています。眠りの質を良くするためにCBDを使用する方がいるほどです。もともとリラックス効果をもっていること、睡眠を誘導するアデノシンの経路を調節する働きがあることから、眠気を催すことがあります。
私も実際にCBDを寝る前に摂取したことがありますが、いつもより深く眠れた気がしました。あくまで個人的な体験談ではありますが、研究データでも眠気が出ることが分かっています。眠くなると困るという方は、夜に使用するなど工夫をしましょう。
CBDの選び方
今では数え切れないほど、多くのメーカーからCBDが販売されています。「いったいどれを選べばいいの?」と迷ってしまう方も多いでしょう。自分に合うCBDを選ぶためには、次の3つのポイントを押さえることが大切です。
信頼できるメーカーのものを選ぶ
過去にCBDにTHCが混入したことで回収騒動が起きた例があります。本当にCBDしか入っていないのか、THCが混入している可能性はないのかを見極めるためには、販売しているメーカーが信頼できるかどうかをチェックしましょう。
海外から輸入したものをそのまま販売しているところは、とくに注意が必要です。知らない間に法律違反を犯さないためにも、「このメーカーなら信頼できる」というところから購入してください。
使いやすい剤形のものを選ぶ
CBDにはオイルやグミ、パウダーなどさまざまな剤形のものが存在します。タバコのように吸入する方法もあります。飲みづらい、続けづらいと少しでも感じてしまうと、せっかくCBDを購入しても継続ができません。自分が続けやすいと感じる剤形のものを選んでください。
なお、CBDはオリーブオイルに溶かすことで効果が出やすくなるとの研究データがあります。そのため、効果を重視する方はオリーブオイルに溶解したCBDを選ぶとよいでしょう。
満足度で選ぶ
面白いことに、摂取する目的によって満足度に差が出ることが分かっています。不安解消のためにCBDを摂取している方や、喫煙具を用いて吸入して摂取している方は満足度が低いのです。
一方で睡眠のために摂取している方や飲むタイプのCBDを摂取している方は満足度が高いことが分かっています。CBDの効果をしっかり実感したい方は、高い満足度が期待できるタイプのものを選びましょう。
まとめ
CBDとは、大麻から抽出されるカンナビノイドの一つです。マリファナに含まれるTHCは含まないため、CBDを使用しても違法となることはありません。自律神経の調整やリラックス効果、ストレスの緩和や肌トラブルの改善など、さまざまな働きをもっています。医療分野でも注目されており、てんかん発作の抑制やがんの痛みの軽減などの働きも期待されています。
管理が杜撰なメーカーから購入するとTHCが混入している可能性があるので、必ず信頼できるメーカーから購入しましょう。
【参考文献】
*4…Cannabidiol in the Treatment of Post-Traumatic Stress Disorder: A Case Series
*6…Therapeutic Potential of Cannabidiol (CBD) for Skin Health and Disorders
*7…Trial of Cannabidiol for Drug-Resistant Seizures in the Dravet Syndrome
*9…Cannabidiol as a Potential Treatment for Anxiety Disorders
*10…不安障害の現在とこれからーDSM-5改訂に向けての展望と課題:パニック障害ー
*11…PTSD(外傷後ストレス障害) - 西日本民間救急(日本民間救急総合受付センター)
【執筆者】
岡本妃香里 先生
〈プロフィール〉
2014年に薬学部薬学科を卒業し、薬剤師の資格を取得。大手ドラッグストアに就職し、調剤やOTC販売を経験する。2018年に退職し、その後はライター活動を開始。現在は医薬品や化粧品、健康食品など健康と美に関する正しい情報を発信中。医療ライターとしてさまざまなジャンルの記事執筆を行っている。